「あれ、彰~そういえばさっきの話はアレで終わりなの?」
そういえばまだ、山寺先輩の話は途中だった気がする。
「これ以上幽霊が出ない話なら解散だぞ!?」
「うん……大丈夫だよ……今度は幽霊がメインの話だから……そのネットの生放送でね……事件が起きたんだ……」
ここからは、山寺先輩の話を私の脳内再生でお送りする。
その日、鳳学園放送部はいつもの時間にネット放送を行っていた。
内容は【学校の怪談の検証】という事だったそうだ。
時刻は、ちょうど午後11時を過ぎた辺り。
本来の儀礼に習い、放送部の部長の高等部二年の男子生徒A、そして彼の彼女であり放送部部員の高等部一年生女子B子、彼女の同級生で副部長の女子生徒C子の三人。
彼らは部室棟に隠れて宿直の先生の目を盗み、深夜までタイミングを待っていた。
そうして時計が深夜を告げると同時に、いよいよ『鏡詣り』は決行された。
「そ、それで、その入口ってどこにあるの? C子」
部長の後ろにピッタリと付いて、怯えた様子のB子が歩きながら尋ねた。
「あの、廊下の端にある床のとこ」
C子は持って来ていた懐中電灯で廊下を照らした。
確かに廊下の一番奥の床には小さな扉の様な物があり、近づくとそれは四方が50センチ程の鉄で出来た蓋の様な扉だった。
「へ~っ、すげーな、よく見つけたじゃん」
「いとこのお姉さんがこの学校の卒業生で、昔流行った怪談と、この場所を教えてくれたんです」
「こんなトコ、本当に入れるの?」
「大丈夫。この前、下見に来た時も途中まで入ってみたんだけど、中はカナリ広かったし案外普通だった」
そう言って先に、C子はその入口から中へと入って行った。
それに続いて、AとB子も入って行くと確かにC子が言った通り、中は入口とは違ってカナリ広い地下通路になっており、ひんやりとした空気が体に絡み付く様だった。
「前に来た時よりも、なんか寒い」
「こ、これはなかなか雰囲気あっていいんじゃないか? 今日の視聴数ハンパないかもな!」
「怖いよ~……はやく終わらせよう」
三人とも流石にその雰囲気には怖じけづき、ゆっくりゆっくり辺りを気にしながら通路を進んでいく。



