「ふんっ! 新入部員は、沢山いればいいわけじゃないんだぞ! そんな事でこの持明院輪に勝ったつもりなのか!? カタハラ痛いわっ!!」
勝ち負けは、特に無いと思います。
「向こうも輪ちゃんと別に争おうとは、思ってないから安心しなよ~」
富岡先輩はニコニコ笑顔で正論を言っていた。
きっと、富岡先輩は将来良いお父さんになれるだろう。
だいたい、この学園で一位を誇れるだろう面倒くさい持明院先輩と、誰が好き好んで争いごとを望むのだろうか……。
「新入部員は、量より質だ!」
そんな、ことわざ的感覚でおっしゃられましても。
けれど、私は一つ疑問が沸いた。
確かに、持明院先輩はおかしくて面倒くさい、富岡先輩は優しいけど、どこかクセがある。山寺先輩に至ってはその人となりは全く読めない。
そんな一癖も二癖もある彼らだが、例えそれをわかっていたとしても、はるかにそんな事を上回る、容姿端麗・眉目秀麗、まばゆいばかりのイケメン揃いなわけだし、新入部員の一人や二人入ってきてもおかしくはないと思うのだが……。
「あっ、あの~ウチの部には新入部員はいないんですか?」
「貴様がいるだろ?」
「いえ、他に誰か~……」
富岡先輩がやれやれと両手でお手上げポーズをして左右に首を振り、ジェスチャーで他には誰もいない事を伝えてくれた。
「……みんな……追い出されるから……」
山寺先輩はポソリと呟く。
「えっ? 追い出される? どうしてですか?」
「あのね~、一応、入部希望者はいたにはいたんだけどね~、輪ちゃんが全員追い払っちゃったんだよね~」
「はぁっ!?」
私は思わず椅子から立ち上がった。
「フンっ! ココは由緒正しき、歴史ある心霊研究部だぞ? 軽い気持ちで入られるのは迷惑だ!」
「歴史……由緒……。富岡先輩、この部はいつからあるんですか?」
「えっと~去年からかな~」
歴史短っ!!
「ともかくだ、俺は少しばかりテストをしてやっただけだ、それでノコノコ引き下がるようなヤツはこの部に入る資格など無い!」
「テストってなんですか? 山寺先輩」
「……学校の近くにある……いわくつきの木造の古い一軒家に……一人で一晩ご宿泊……強制合宿……」
「バカなんですか!?」
「ああっ! そうだ! 今度の夏の合宿は、みんなでそこに泊まるというのはどうだ?」
「遠慮します」
「まぁいい、合宿候補地は他にもあるんだ! 今年は藤城がいるからな! 実に楽しみだ!」
別に、私を好きとかそういう事で言ってる訳ではないのは百も承知なのだが、あまりにも持明院先輩が私と行くのを楽しそうに言うので、あやうく勘違いしそうになる。



