桜都の中学校入学式の日は雨だった。

けれど、スプリンクラーから出てきたような細くてしとしとと降る雨は、桜都にとって快感だった。


新しいクラスに入って周りを見渡すと、知っている人に紛れて知らない人が何人もいた。

桜都のこれから通う中学校は、二つの小学校の卒業生が一緒になる。だからその半分は、
全く知らない新しい人たちだった。