けれどそんな時間にも終わりが来たようだった。

時雨は最後の一音をホールいっぱいに
響かせた後、立ち上がってまたお辞儀をした。

たくさんの人の拍手に包まれて、
とても幸せな気持ちになった。

顔を上げると美樹と目が合った。
時雨がニコッと微笑むと、
彼女もまたニコッと微笑んだ。

目には涙が溜まっていて、
その目はキラキラと輝いていた。

時雨は一瞬だけ、
もうこの舞台で美樹に聞かせてあげることが
できないのかと思って切なくなったけれど、
最後までやり切った。

そうして時雨は、舞台から降りた。