ーゴ〜ン、ゴ〜ン

十五時〇〇分、
パッと光った舞台に時雨は足を踏み入れた。

中央に置かれたグランドピアノに
惹きつけられるように、前へと歩いた。

客席に向かってお辞儀をした後、

ーカツッカツッ、サッ

時雨はピアノ椅子に座った。
そしてふわっと鍵盤に手を置いて、
大きく深呼吸した。