胸の奥まで吸い込んむと、異常なほどの悲しさがスッと体から抜け――。

抜け――……?

抜けない!?

私は幽斗君の腕の中で何度も何度も涙をぬぐう。

なんで?

全然治まらないよ!?

その様子を見て、幽斗君は「やっぱり無理か」と、呟いた。

「どういう……こと?」

「生霊にも霊にも、強さというものがある。今回の生霊に関してはそれが香の匂いを跳ね返すほど強さがあるんだ」

じゃぁ、またミィちゃんの時みたいにお経をよんでくれるんだろうか?

私はそう思い、歪んだ視界で幽斗君を見つめる。

しかし――。

次の瞬間、私は幽斗君に軽々とお姫様ダッコされ、ベッドへと連れて行かれていたのだ。

「えっ?」

キョトンとする私に向けてキスを落とす。

ベッドに寝かされた私の上に、幽斗君が覆いかぶさり、当然のように上着を脱いだ。

「ちょっ! なにっ!?」

バタバタと抵抗する私に「除霊だ」と、一言。

除霊って……なに言ってんの!?

どこからどうみても、飢えた野獣に食べられそうになっている図だ。

「ちょっとおとなしくしろよ」

めんどくさそうにそう言い、私の両手の自由を奪った。

ほ、本気だ!!

「今回の生霊は『孤独』が原因。つまり、愛されているという自覚を持たせれば勝手に離れていくんだ」

なっなっなに!?

つまり、一体、それってどういう意味?