ミィちゃん――?

心の中でその名前を呼ぶ。

すると、たしかにハッキリと聞こえたのだ。

にゃぁお。

と、楽しそうなミィちゃんの鳴き声が――。

☆☆☆

ほとほと体力を使い果たしてしまった私たち2人は、そのまま授業を放棄してこっそりと裏門から抜け出していた。

そして、今いる場所はいつもの豪邸の一室。

「なんで私に動物霊がついてたんだろう?」

私は幽斗君に暗闇での出来事を話してから、そう聞いた。

幽斗君は少しだけ目を天井へ向けてから、「それは―ー」と、口を開いた。

「お前が心の中でずっと『ミィちゃん』を思い続けてきたからだ」

へ?

「きっと、自分自身が意識していていないままに『ミィちゃん』の死を笑ってしまった事への罪悪感が募ってたんだ。それによって本来の守護霊は引きはなされ、心配した『ミィちゃん』がお前の守護霊になった。それもこれもお前を安心させるためだったんだが――、運悪くお前は霊感体質だった」

そこで一旦話しを切り、幽斗君は私の肩を抱き引き寄せた。

「『ミィちゃん』自身とお前の不安、霊感などが絡まりあい、余計な動物霊まで呼び込んだ。最近。『ミィちゃん』への罪悪感が増す事がなかったか? お前のそのマイナスの力が働いて、動物霊たちはどんどんお前の体へ異変をもたらし、引きずり込まれるところだった」

私は話を聞きながらそっと目を閉じた。

暖かな幽斗君の体温に、ホッとする。
「あのね、実は――」

今日は『ミィちゃん』の命日なのよ。

私がそう言うと、幽斗君は少し私の方を見て、「やっぱり」と呟いた。

ごめんね。

あなたが死んだ事も、私が笑ってしまった事も、本当はずっとずっと覚えてた。

ずっとずっと、気にしてた。