私はそう言って笑った。

笑ったんだ。

でも、泣きそうなのを必死で我慢して、我慢して我慢して――。

だから、あんなヒドイ事を口走った。

用水路からはポコポコと水面に向けて空気が浮かび、それが徐々に増えていく。

いる。

ここにミィちゃんがいる。

そう思って手を伸ばした瞬間。

私は強い力に引きずられ、そのまま用水路へ落ちていた。

暗くて冷たくて、苦しくて。

そんな世界。

それしかない、用水路の世界。

ミィちゃん……。

ごめんね、気づかなくて。

あの日帰る途中の私の足音を聞いて、あなたは必死で助けを求めたんだね。

でも私は、それに気づいてあげることができなかったのね。

用水路の中、そっと目を開けるとそこには一匹の猫が横たわるように浮かんでいた。

私はそっと手を伸ばす。

その体を両手でしっかりと抱きしめて、水面を目指した――。