ミィちゃん。

懐かしい。

私が小学校の頃にはよく一緒に遊んでいたんだ。

『……いいわよ。私も会いたい』


そんな声がしたかと思えば、辺りは灰色の世界に包まれていた。
夜でもなく、昼でもなく、当然朝でもない。

ただの、灰色の世界。

すべての時間が静止しているようにさえ感じる、冷たい世界。

にゃぁお。

にゃぁお。

いつものように、鳴き声が聞こえてくる。

私はそれが黒猫のミィちゃんの声であったと、ようやく気づくことが出来た。

昔飼っていた子猫。

「ミィちゃん?」

私は名前を呼び名がら、鳴き声の元へ歩いていく。

わかってる――。

ミィちゃんが、どこにいるのか。

私は直接見てきてないけれど。

でも、聞いたから。

お母さんに、聞いたから。

私は真っ直ぐに用水路へと向かっていた。

《危ない!》

という赤い文字看板さえ、灰色だ。

「ミィちゃん?」

私は体を前のめりにして、用水路の中を見る。

お母さんに聞いたから、だから知ってる。

ミィちゃんは用水路に落ちて死んだんだって。

猫が用水路に落ちて溺れるなんて。