どこか悲しげなその鳴き声。

どこ?

どこにいるの?

声しか聞こえない相手を、必死で探す。

私はギュッと幽斗君にしがみついた。

「お願い……」

「大丈夫だ。俺はこの手を絶対に離さない」

力強い、幽斗君の声。

そして、抱き合ったままの体制でゆっくりとお経を唱え始めた。

行って来い、夢花。

幽斗君の唱えるお経がそう言っていいて、私は再び目を閉じた――。

目を閉じたさきには暗闇が続いていた。

そして、また鳴き声だけが聞こえてくる。

にゃぁお。

にゃぁお。

私は暗闇の中をそっと歩き出した。

鳴き声は時に近く、時に遠くなりながらも止むことはなかった。

しばらく歩いていると、まるで私を迷路へ陥れようとしているかのように、四方八方から声がする。

にゃぁお。

にゃぁお。

それは時に低く、時に高く。

全く別の猫の声かと思えば、重なり合う。

どこ?

どこにいるの?

私はたまらくなって声をかける。

すると、彼らは面白がってまた一斉に鳴くのだ。

歩けど歩けど先は見えず、真っ暗なので前進しているのか後退しているのかさえわからない。

にゃぁお。

にゃぁお。

泣きそうになる私に、更に激しくなる鳴き声。

私が真実を知る事をひどく拒んでいるようにも思えてくる。