え――?

私はサーッと青ざめていくのがわかった。

それって、どういう意味?

背中が寒くて、手足が凍るように冷たい。

「私――」

「霊に体の半分以上を支配されてる」

私の言葉をさえぎり、幽斗君は冷たくそう言った。

体の、半分以上――?

そういわれても、ハッキリとは理解できない。

ただ寒くて。

凍えそうに寒くて。

幽斗君に暖めて欲しいのに、触れられなくて――。

「ね、そのお守り捨てて」

「夢花?」

「寒いよ。すごく寒い。お願い、お願いだから、暖めてよ」

幽斗君へ向けて手を伸ばす。

白い息は氷の粒になって床へパラパラと散らばった。

頭がとろけたように思考を停止し、視界も歪む。

まるで、体の機能すべてがその働きを放棄しているようだ。

「いいだろう」

しばらく黙っていた幽斗君がそう言い、持っていたお守りを床へ投げ捨てた。

両手を大きく広げ、私を抱きしめる。

幽斗君――。

その暖かさを一瞬だけ感じ、すぐに氷の世界へと沈んでいく。

なんで?

なんでこんなに寒いの?

体を震わせ、必死に幽斗君にしがみつく。

お願い。

お願い、助けて。

この中から私を引き上げて――!!

にゃぁお。

にゃぁお。

どこからか、猫の鳴き声がする。

私を呼んでる。

その声に耳をすませるように、私は目を閉じた。

にゃぁお。

にゃぁお。