「でも、俺と一緒にいることで霊を呼ぶ事にもなってるんだ」

霊を、呼ぶ――?

また、背筋が冷たくなる。

なんだろう、この寒気は。

吐く息まで徐々に白くなっていく。

「俺もお前も霊感、霊を引き寄せる力がある。だから一緒にいると数が増えるのは当然なんだ」

「そうなんだ?」

「あぁ。でも、普通はもっとゆっくりだ。その間に香の量を増やし、徐々に霊へ刺激を与え、夢花の体から引き離す予定だった」

それで……。

それで、一緒に暮らそうって言ってきたんだ。

私は白い息を吐き出し、カタカタと体を震えさせた。

どうして?

なんでこんなに寒いの?

「幽斗君……」

私は、そっと幽斗君の手をとった。

また抱きしめてもらい、少しでも和らげようと思ったのだ。

しかし――。

その手に触れた瞬間、バチィッ!!と激しく火花が散った。

私は悲鳴をあげ、その場にしりもちをつく。

なに?

今のはなに!?

手がチリチリと焼けるように熱い。

「夢――」

その様子を見て、幽斗君はほんの少しだけ眉間にシワを寄せた。

「お前、最近記憶をなくすんじゃないか?」

「え? なんで知って――?」

私がそう言うと、幽斗君は制服の胸ポケットから小さなお守りを取り出した。

それは幽斗君の実家である竜宮寺で売られているものだ。

「今火花が散ったのは、俺がコレをいつも身に着けているからだ」

いつも身に着けて……?

でも、今までこんなことになった覚えはない。

「コレは生きた者が触れてもなんともないハズなんだ」