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それからの時間はあっという間だった。

途切れない会話は夕方まで続き、私は喉が痛くなるくらい笑った。

こんなの、私でも久しぶりだ。

咲弥だって、もう少しで笑い死ぬところだったかもしれない。

咲弥が帰った頃にはすっかり日が落ちて、待ちくたびれたお手伝いさんは勝手に夕飯を作って部屋へ戻っていた。

「楽しかったね」

私がそう言うと、幽斗君はまた思い出し笑いをした。

そして……。

気がつくと私は、ご飯も食べずに眠っていた。

多分、はしゃぎすぎたんだ。

声がカラカラになるまで笑って、じゃれて、遊んで。

まるで小学生の頃に戻ったみたいだった。

軽く寝息を立てる私に、幽斗君がそっと毛布をかけてくれる。

電気を消して、居間を出ようとして……。

一度立ち止まり、私の顔を覗き込んだ。

「夢花……」

私の名前を呟く幽斗君。

その表情は、真っ暗で見えない。

そして、幽斗君は眠る私の唇にキスをした。

長くて、深いキス。

その感覚に、一瞬だけ身をよじる。

でも……。

でも、これは『おやすみ』のキスなんかじゃなかったんだ。

幸せなキスならば、幽斗君が悲しげな表情で私を見るハズがないから――。