「こんな所で暮らせるなんて、夢花おいしすぎ!!

キーッ!!

と、悔しそうに爪を立てる咲弥。

「咲弥も霊にとり憑かれたらここで暮らせるよ?」


そうやって冗談めかして言うと、咲弥は真剣な表情で「そうよね。それもいいかも」なんて言い出す始末。

そんな私たちを見つめながら、幽斗君は楽しそうにクスリと微笑んだ。

「ねぇ、幽霊ってどうやって憑くのよ!? 教えなさいよ!!」

「そんなの知らないわよ。咲弥は霊感なさそうだから無理なんじゃない?」

「夢花の動物霊一体くらいくれたっていいじゃなぁい!!」

「無茶言わないでよっ!!」

体を押さえつけてくる咲弥に必死に抵抗していると、「あははっ!」という笑い声が耳に届いてきた。

見ると、幽斗君がお腹を押さえて笑っている。

え――?

「お前ら、ほんっとおかしすぎ」

そう言って、目に涙まで浮かべる。

はじめてみた。

幽斗君が、こんなふうに笑うなんて……。

私は、そのことが嬉しくて。

余計にたのしくなって。

今度は幽斗君にちょっかいを出しながら馬鹿な会話ばかりをした。

もっと笑って?

もっと聞かせて?

もっと見せて?

あなたの、その弾んでる表情を――。