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「あら、夢花に彼氏!?」

驚いたように言いながらも、ウキウキと楽しそうなお母さんの顔。

「はい。橘幽斗といいます」

今までに見たこともない爽やかな笑顔で挨拶し、お辞儀をする幽斗君。

「こんな真夜中に上がり込んで申し訳ありません。夢花がうちのすぐ近くで迷子になっていたので、送ってきました」

その言葉にお母さんは一瞬で顔を赤くする。

「まぁ、それは丁寧にありがとう。ごめんなさいね、私たちこの子がいなくなった事さえ気づかなくて」

ホホホホ、と、上品に照れ笑い。

「仕方ないですよ。本人だって気づいてなかったですしね」

そう言って楽しそうに笑う。

なによ!

他人事だと思って!

私は頭に血が上りそうになるのをグッとこらえる。

幽斗君がいなかったら家に帰ってこれなかったわけだし、色々と助けてもらってる。

少しくらいの嫌味、聞かないふり。

「で、ちょっとご相談なんですけど」

「相談?」

お母さんが首をかしげ、私の心臓はトクンと跳ねる。

「夢花の体は今危険な状態にあります」

突然深刻な口調になる幽斗君に、お母さんは目に見えて動揺した。