なに……?

どういう事?

「夢花、昼間に猫を見て体が重たくなったのは今日の帰りがはじめてだろう?」

そう聞かれて、私は頷く。

確かに。

起きているときに猫を見ても今までは平気だった。

「夢花に憑いてる霊の力が、少しずつ強くなってるんだ」

「え……?」

「その分、夢花の体に影響を及ぼす。今みたいに、夢で見ていた場所に突然自分が立っていることも、よくある。一種の夢遊病のようなものだ」

夢遊病――。

「ただ、それが霊の仕業だからやっかいなんだ」

「詳しく教えて?」

そう言うと、幽斗君は軽く私の肩を抱いた。

香の匂いも近づき、心が落ち着く。

「例えば、夢なのか現実なのかわからない状態で霊に強く引っ張られ、そのまま消えてしまうこともある」

「消えて……!?」

目を見開いて幽斗君を見る。

「まぁ、それはすごく力の強い霊の場合だけどな。夢花の場合はまだ大丈夫」

その言葉にホッとする。

けど……。

私は今日の夢を思い出した。

あそこまで強く引っ張られたことは、今までにない。

本当にまだ大丈夫なんだろうか?

「それに、今回は俺に見つかったからよかった」