Hugして治して

「……花!! 夢花!!」

怒鳴り声にハッと目を覚ます。

辺りは真っ暗で、なにも見えない。

でも、鼻につくお香の匂いには覚えがあった。

「幽斗……君?」

自分の喉からひどく弱弱しい声が出た。

私、どうしたんだろう?

怖い夢を見ていた気がするけど、覚えていない。

いつの間にかベンチに座り、幽斗君の腕の中で眠っていたようだ。

「しっかり目を覚ますんだ」

そう言って、幽斗君は私の額に冷たいタオルを乗せてくれた。

ヒヤリとして、一瞬身震いする。

「ここは……どこ?」

冷たい風が通り抜けていく。

「公園だ」

「公園……?」

「覚えてないのか?」

「私……夢の中でここに来た……」

辺りを見回し、記憶をたどる。

そう。

ついさっきまで見ていた夢だ。

「やっぱりそうか」

やっぱりって……どういう意味?

私はようやく体を起こす。

「まだ寝ていた方がいい」

「でも……私、覚えてないの。なんで? この公園夢で見た……」

「リンクしてるんだ」

リンク……?

「夢と現実が、交わってきてるんだよ」