Hugして治して

寒さに身震いし、ひとまず公園を出た。

どこか近くの家で道を聞こう。

そう思って歩き出す。

しかし……。

どの家も明かりはともっていなかった。

遠くから見ると明るいのに、近づくにつれてフッと電気は消える、

まるで、私が助けを求めていることを知っているように。

どうなってるの……。

シン……と静まり返った街中で、ただ一人。

私だけが歩いている。

普段は交通量の多い道も、全く人通りがない。

どう考えたって、誰がみたって、おかしい。

「誰か、いませんか!?」

私はゴクリと唾を飲み込み、表札のかかっていない家の玄関をノックした。

「どなた?」

中から、女性の声が聞こえてくる。

その瞬間、ホッとして体の力が抜けていく。

「すみません! 道に迷ってしまったんです!」

そう言って、相手が出るのを待つ。

玄関の明かりがつき、パタパタとスリッパの音が聞こえる。

「まぁ、大変ですね。大丈夫ですか?」

カチャ、と鍵が開き、少しさびた音を立てながらゆっくりと扉が開く。

「本当にすみません。あの、私――」

言いかけた瞬間、鋭い2つの目が私をとらえた。

「にゃぁぁお」

中から出てきたソレが、鳴き声を上げる。

「……っ!!!」

恐怖で叫び声も上がらない。

口をパクパクと開き、涙が勝手に溢れ出す。