「あいつ、霊感あんの!? 寺の息子は違うねぇ」

「うん……。そうみたい……」

返事をしながら、全く疑いを抱いていない咲弥に心底ホッとする。

私、心配かけたくなかったのかな――?

最後のホームルームが終わるとほぼ同時に、幽斗君が私の席までやってきた。

「帰るぞ」

一言そう言い、私のカバンを強引に持つ。

「いいよ、カバンくらい自分で持つよ」

「気にするな」

「でも……」

そんなやり取りをしていると、クラスメイトの半分くらいからジロジロと好奇な目で見られてしまった。

『いつから仲良くなったの?』

『どんな関係なの?』

女子ばかりが多いから、そんな会話が聞こえてくる。

「友達も一緒に帰るんだろ?」

「え? あ……うん」

私が頷くと、咲弥は慌てて首を振り、「いいよ私は。2人で帰りな」と言った。

「なんでだ?」

「へ?」

「友達なのに、なんで遠慮するんだよ?」

「それは……だって……」

どう答えていいかわからずにいる咲弥に、幽斗君は少しだけ目を細めた。

「それとも、友達じゃないのか?」