人の噂や謎が大好きなのだ。

「今日突然入学するなんてさ、やっぱり裏口とか――」

「咲弥、深読みしすぎ」

パタパタと手を振って否定すると、「夢は考え方がつまんないなぁ」を口を尖らせた。

「私は超現実主義者なの」

そう言い返しながらゆっくりと腰を伸ばす。

バキバキと骨の音がして、「あだだだっ!」と悲鳴を上げる。

まるで本物の老人だ。

「あんた、そんな変な体してるくせに『現実主義者』なんて、必死で現実にしがみついてるようにしか見えないよ」

「わるかったわね!!」

そうよ。

この体が非現実的だからこそ、私は現実にこだわっている。

だってさ……。

なにかにつけて納得できる『理由』をつけないと、こわいじゃないかっ!!

いつもいつも夢の中で引っ張られる。

強い力を感じる。

おいで、おいで。

夢が、私を呼んでいる。

私の体が翌日重たいのは、きっとそれが原因なんだ。

私の見る夢は、現実とは違う場所へと繋がってる……。

咲弥には絶対に言わないけどね。

笑われるのがオチだろう。

「全員席につけぇ!」

担任の先生の声がして、咲弥は「じゃ、後でね」と言い残して自分の席へ帰って行った。

私のクラスの担任はいたって普通のおじさんだ。

隣の1年A組の平野翼(ヒラノ ツバサ)先生は新人で、女子生徒から人気が高い。