「っていうかさ」

咲弥の声じゃない。

その言葉に驚き、私は振り向いた。

そこに立っていたのは、幽斗君――。

「理解できない他人の辛さを先読みして、当たり前のようにずっと一緒にいた友達に対してそれはないんじゃねぇの?」

え――?

「腰が曲がってたって、ゆっくり歩いてたって、それがあんたの演技かもしれないわけだろ」

なっ……!!

「でも、それを信じて大変なのを悟って、いつも一緒にいてくれてんじゃねぇの?」

幽斗君の、冷たい視線が突き刺さる。

痛い……。

痛いのは、視線のせい?

それとも、咲弥へ向けて無茶を言ってしまった、私のおろかさのせい?

「ごめん、夢花。たださ、私は理解できないから、見た目で判断するしかないから……だから、『おかしい』って簡単に言っちゃった」

幽斗君の後ろから、咲弥が顔を出す。

「……咲弥は……悪くない」

そう呟き、俯く。

「って、ことで」

幽斗君の手が、私へ伸びる。

へ?

次の瞬間、幽斗君の腕に、私はスッポリと包み込まれていた。