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「ゆーめーっ! 夢花ーっ!」

いつもの通学風景。

後ろからかけられる声に、私は反応しない。

「おっはよー!!」

そう言い、ポンッと肩を叩く咲弥。

あれ?

今日は背中じゃない?

「大丈夫ぅ? なんか、今日はいつも以上に老けてるけど?」

「え……? そう?」

なんとか顔を持ち上げて、咲弥を見る。

その瞬間、咲弥の表情が変わった。

口にくわえていたパンの残りが地面におちる。

「夢……花?」

「なに?」

真っ青になった咲弥の顔に、私は驚く。

「ど……したのっ! その顔!!」

顔……?

顔が、どうかした?

疑問に思う私の前に、咲弥は鏡を突き出した。

そこに写っていたのは――どう見ても、50代か60代のおばさんだ。

うそ!

なにこれ?

これが、私?

いつも、夢を見た後は確かに老けて見えた。

でも、小じわが見える程度だ。

今日みたいな、こんなことは今までない。

「なんで……」

声が震える。

「夢花、やっぱり病院で見てもらいなよ」

病院……。

私は強く首を振った。

何度も行ったよ、病院は。