「涼磨はまず客間を整理して」
姉の命令で僕は客間へ向かった。この家に来た時は、基本的にその客間で寝起きをしていた。
客間に足を踏み入れると古い畳と木のにおいと共に思い出が僕を襲う。
子どもの時は、ここに来るのが楽しみだった。広い草原を駆けまわり、虫を捕まえてきては姉に捨ててこいと怒鳴られたっけ……
雨が降っていても、田舎特有の広い家は小さな僕には充分すぎる遊び場だった。よくかくれんぼをしたっけ。ああ、そうだ、かくれんぼの最中に押し入れの中で眠ってしまって、僕が行方不明になったと家族に大捜索されたこともあったっけ……。あの時も姉にめちゃくちゃ怒られたっけ……
「あれ?」
そんなことを思い出しながら、押し入れの荷物を引っ張り出していると、あることに気が付いて僕は思わず声を出してしまった。
かくれんぼって、誰とやってたんだっけ?
姉としていたと思っていた。でも、そうなるとあの大捜索のときの辻褄が合わなくなる。姉とかくれんぼしていたなら、僕が行方不明で大騒ぎになんてなるはずないんだ。かくれんぼなのに隠れていたことを怒られるなんてそんな理不尽なことない。
じゃあ、誰と……?
僕はふと思い出して、母と祖母がいる台所に走った。
「母さん、ばあちゃん、ここに女の子いなかった?」
急に現れて、奇妙なことを聞く僕に2人は面食らっていた。
「女の子?どういうことよ」
母がいぶかしげに聞いてくる。
「昔、遊びに来た時に僕と姉ちゃんのほかに女の子いなかった?よくその子と遊んでた気がするんだけど……」
「何言ってんの、あんた、従兄弟がいないときは一人で遊びまわってたじゃない」
ちなみに3人いる母方の従兄弟は全員男だ。
「この辺に涼君と同じくらいの女の子もいないしねぇ……」
祖母が言う。
バシッ
「いてっ!」
頭に急に衝撃が走る。
「あんた何サボってんの?さっさと持ち場戻りな」
姉が丸めた雑誌で殴ってきた。けっこう痛いんだぞ、それ……
釈然としないまま客間に戻る。
姉の命令で僕は客間へ向かった。この家に来た時は、基本的にその客間で寝起きをしていた。
客間に足を踏み入れると古い畳と木のにおいと共に思い出が僕を襲う。
子どもの時は、ここに来るのが楽しみだった。広い草原を駆けまわり、虫を捕まえてきては姉に捨ててこいと怒鳴られたっけ……
雨が降っていても、田舎特有の広い家は小さな僕には充分すぎる遊び場だった。よくかくれんぼをしたっけ。ああ、そうだ、かくれんぼの最中に押し入れの中で眠ってしまって、僕が行方不明になったと家族に大捜索されたこともあったっけ……。あの時も姉にめちゃくちゃ怒られたっけ……
「あれ?」
そんなことを思い出しながら、押し入れの荷物を引っ張り出していると、あることに気が付いて僕は思わず声を出してしまった。
かくれんぼって、誰とやってたんだっけ?
姉としていたと思っていた。でも、そうなるとあの大捜索のときの辻褄が合わなくなる。姉とかくれんぼしていたなら、僕が行方不明で大騒ぎになんてなるはずないんだ。かくれんぼなのに隠れていたことを怒られるなんてそんな理不尽なことない。
じゃあ、誰と……?
僕はふと思い出して、母と祖母がいる台所に走った。
「母さん、ばあちゃん、ここに女の子いなかった?」
急に現れて、奇妙なことを聞く僕に2人は面食らっていた。
「女の子?どういうことよ」
母がいぶかしげに聞いてくる。
「昔、遊びに来た時に僕と姉ちゃんのほかに女の子いなかった?よくその子と遊んでた気がするんだけど……」
「何言ってんの、あんた、従兄弟がいないときは一人で遊びまわってたじゃない」
ちなみに3人いる母方の従兄弟は全員男だ。
「この辺に涼君と同じくらいの女の子もいないしねぇ……」
祖母が言う。
バシッ
「いてっ!」
頭に急に衝撃が走る。
「あんた何サボってんの?さっさと持ち場戻りな」
姉が丸めた雑誌で殴ってきた。けっこう痛いんだぞ、それ……
釈然としないまま客間に戻る。