部長は私を甘やかしすぎです!


昼にお寿司が配達された


(高そう)

雫は配達された器からそう思った



「食べよ」

「いただきます。ん、美味しいです!こんな美味しいお寿司たべたことないです」

「たくさん食べて」

「竜二さんは何のネタが好きですか?」

「俺はやっぱりトロかな」


「廻るお寿司とか行きませんよね」

「全然行くよ。友達とかと、会社の会食以外は普通だからね。納豆巻きとか食べたり」



「ごめんなさい。納豆今まで私出してないですよね」

「もしかして嫌い?」


「はい、匂いが駄目なんです。食べたいならお茶碗を自分で洗ってください」

「目の前で食べるのは大丈夫なの?」



「はい、みんな給食で食べてるのは平気でした。洗い物の時が駄目なんです」

「わかった。じゃあ食べたくなったら自分で買ってくる」

「はい、お願いします(笑)」



お寿司を食べ終えてソファーでまったりとする二人



雫がうとうとし始める

「寝ちゃだめだよ。出掛けるんだから」

「お腹一杯で……」

「じゃあ動こう。着替えてくる」

「私はこの格好で大丈夫ですか?」

「いいよ」


二人は外に出掛けた

真木に紹介してもらったエステサロンに着く

「ここだ」

真木から教えてもらった紙を見る

「ここはエステ?」

「そうらしい、入ってみよう」

「エステは高いですよ~」

「予約入れてるから行くよ」


雫の手を引っ張って店の中へ入る

「すみません、真中です」

「どうぞ、いらっしゃいませ」

「雫ちゃん、終わる頃に迎えにくるよ」
(う~竜二さん……)



「エステは初めてですか?」

「はい」

「リラックスしてくださいね」


雫は顔とボディとヘアメイクで二時間半かかった

「お疲れ様でした」

「これは私ですか?」

「可愛いですよ。メイクとかわからなかったらまた教えますのでいつでも来店してくださいね」

「ありがとうございます」

雫が受付に行くと竜二が待っていた

「竜二さん!私こんなになっちゃいました」

「可愛いよ。髪もアップにしてもらってクルクルになってる」

「子供っぽくないですか?」

「まだ若いんだから(笑)」

二人は店を出て次の場所に向かう



呉服店に到着する

(着物屋さんだ)

「真中です」

「いらっしゃいませ」

「雫ちゃんの好きな柄選んでいいよ」

「お祭りに着ていくんですか?」

「うん」



雫は嬉しそうに浴衣を選び始めた

「どっちがいいですか?二つに絞ったんですが」

「どっちも可愛いよ、二つ買ってもいいよ」

「いえ、もったいないです」


「好きな帯を選んでみてはいかがでしょうか?」



「そっか」

雫はピンクと水色の浴衣で迷っていた



「この浴衣にはこの色あたりの帯でそちらの浴衣でしたらこちらくらいかと」

雫はブルーの帯を選んだ

着付けをしてもらう

奥から浴衣を着た雫が出てきた

「竜二さん、見て見てー」

クルリと回って見せる

「可愛いよあとは下駄とバックを選ぶといいよ」

「はい」

竜二は会計を済ませタクシーを呼び二人はマンションに戻る




雫は帰っても暫く玄関にある姿見の鏡を見ていた

(浴衣気に入ったみたいでよかった(笑)まだ見てる。可愛いな)

やっとリビングに入ってきた

「竜二さんバックに財布入れときましょうか?ポケットは危ないですよ。人が多いところは……あと一応社員証」

「うん、お願い。雫ちゃんの財布は今日は入れなくていいよ」

「ありがとうございます」

「早いけど行ってみる?」

「はい!」


二人はタクシーで夏祭りの開かれる店舗へ向かった

タクシーの中で携帯が鳴る

竜二が雫に携帯を見せると山口と出ていた

二人は顔を見合わせる

「もしもし?」

「山口です、あの、すごい人で……」

「いいことだろ?」

「それはそうなんですが……」

「今タクシーで向かってる、あと二十分くらいしたら着くから」

「はい」

「怖いですね、竜二さん」


「人が集まるのは想定内だが……追い付かないと苦情になるからな」

「電話かかってきたってことは、追い付かないと判断したんでしょうね」

「だな……俺にかけてくるってことは……」



夏祭り会場に着いた

「わっ、凄い人だな」

山口に電話する

「着いた、どこにいる?」

「店舗の入り口です」



「雫ちゃん、ゆっくりね」

手を繋いで引っ張っていく



山口は雫に頭を下げて挨拶をした


「始まる前から凄い人で開始を早めたんですけどビールが凄くて」

「それは朝連絡しただろ」


「はい、でも九時まではもたないかもしれなくて」



「他の店舗も連絡入れて向こうから運ばせろ、俺が電話する。とりあえず先に近くの店舗のを早く持って来させろ」

「はい、あと子供の遊ぶものが」

「美咲は?」

「電話してます」



「竜二さん、社員証かけますか?」


雫はバックから取り出した


「かける、ごめんね、歩くの気をつけて」

「大丈夫です」



「もしもし?厨房の手配していたのを誰か持ってきてください、足りなくなってます」

「もしもし?飲み物を大至急会場へ、誰か運んでもらえますか?間に合わないんです」



「山口、景品を増やせ、ティッシュとラップとお菓子を足して」

(一時間はこの店ので持つはず……その間に他の店舗のが間に合うか……夕方のラッシュ時間だ)



「竜二さん」

「あっ、ごめん、何?」

「座るとこが足りてないです」



竜二は美咲の会社の車に走って向かう

「美咲」

「あっ、竜二」

「お前、椅子とテーブルが全然足りてないぞ」

「こんなに多いとは思わなくて、お客は回転するから」

「ちゃんと想定しろ!多かったら次の対処を考えろ」


「今子供の遊ぶものが無くなってきたからそっちの手配をしてたの。今スタッフに買いに行かせてる」

「子供に立って食わす気か?乳幼児もいるんだぞ!」

「竜二さーん」

雫が小走りで来た


「危ないから走るな」

「ハアハア、あのね、社員の人の中でね、農家さんとか畑してる人とかいないか聞いてみて。コンテナがあればひっくり返したら椅子とテーブルになる」



「わかった。美咲、こっちでする」

竜二は店舗の中に入ってスタッフに聞いていく

「あっうち祖父のところにあります。聞いて見ます」

「私も聞いてみます」


「トラック置いて帰っていいですかって、来たら飲みたいそうです」


「構わない。助かる。地下駐車場のほうに来てもらってくれ」

竜二は山口に電話する



「山口、地下駐車場にコンテナが届く、それを椅子とテーブルにするから地下に行ってくれ」

「はい!」


「店長、店のレジを二つ塞いで下さい。景品とかをその塞いだレジで通してもらって下さい」


「わかりました。では景品の手配をします」


雫は店から枝豆と紙コップを持ってレジに行く


(あっ、別がいいよね)

店長が塞がれたレジでラップを通していた

「このレジ、景品用ですか?」

「はい、別にしてます」

「これもお願いします。売ります」

「はい」

レジを通して雫に渡す

(社員証…でもしてたよな)



会場の厨房に雫は枝豆と紙コップを厨房に持っていく

「すみません。枝豆湯がいて紙コップに入れてください。できたら売り場の方へお願いします」

「はい」



(紙とマジックないかなー、あっそうだ)

雫は美咲の会社の車へ向かう

「あの、紙とマジックないですか?」


(この子さっきの……)
「あるわよ」



「貸してください。あっ、セロテープもいいですか?後で返しにきます」

雫は売り場に向かう



(んー、いくらにしようかな300円、高いかな、250円かなー)

竜二から電話がかかる


「雫ちゃんどこ?」



「色々うろうろしてるから大丈夫です。落ち着いたら電話下さいね。あっ近くの店舗から枝豆を手配してください。厨房に持っていくように」

「わかった」



「あの、枝豆をメニュー追加したのでこれ貼ります。茹で上がったら中から出てきますので」



「わかりました」

「お願いします」

ペコリと売り子に頭を下げて歩いていく



美咲のところへマジック等を返しに行き、また店舗に入っていく



(多分、ここにあるはず)

雫はトイレットペーパーの予備を見つけて店舗外にあるトイレへ入っていく

浴衣のままトイレ掃除をしていく



(一時間半はもつかな)

スタッフルームからゴミ袋とテーブルを拭くダスターを何枚か持って出る



備え付けてあったゴミ袋を変えていき落ちているゴミも拾っていき、空いた席のテーブルを次々と拭いていく


「空きましたよ。座ってください」

テーブルを拭いては立っている人達に声をかけていく

キャリーが届いたようで男性社員が椅子とテーブルを作っていきお客は座っていく

(間に合ったみたい(笑))

「こちら空きましたよ。どうぞ」


一組の立って食べていた夫婦に声をかける

「ありがとう」


「ごゆっくりどうぞー」

雫はまた売り場に行く



(飲み物……足りないかな〜)

店の中に入っていく



竜二の電話が鳴る、真木からだった

「部長どこですか?」

「地下の駐車場だ」

「私、今来たんですが」

「どんな様子だ?」


「まだお客さんは来てますね。私も今到着なのでこれからは仕事帰りの人が多いかもですね。

帰ってる方もいますよ。地下で何をされてるんですか?」

「座る場所が足りないから近くの人にキャリーを借りたんだ。運んでる」

「そうですか。では売り場の方を見て来ますね」

「頼む」



また電話が鳴る

「部長、彼女は?」

「どこかでうろうろしてるはず、じっとしてることができない子だから……水色の帯を巻いてる」

「わかりました」


雫は店に入って缶チューハイを二ケース台車に積んでレジを通してもらい売り場のケースに入れる



「チューハイ入った。もうすぐ交代だから飲もうよ」

「うん」

売り子達の声を聞いた

雫は嬉しそうに台車を返しにいく



(あっ、水色の帯、台車?)

真木は売り場を見る


(チューハイが入ってる。あの間に……)



「山口、一度上へあがるぞ」

「スタッフの交代の時間ですね。お弁当配ります」


二人は売り場に向かった

山口はスタッフに声を掛けて交代を告げていく



「あの、さっきチューハイ入ったので呑んでもいいですか?」

「いつの間に?」

「さっき浴衣の子が入れていきました」



(雫ちゃんか、全く……)

汗を拭う

「構わないよ、呑んでくれ」

「はい」



「ビール届きました」

「山口、お前も弁当食っとけ」

「はい、すぐ食べてきます」


雫はトイレへ向かい男子トイレに入っていく



(雫ちゃん、おいおい)

竜二は雫を見付けてトイレに急いでいく

「雫ちゃん!」

「あっ、竜二さん落ち着きました?」

「スタッフが交代の時間だから一度上がってきたら男子トイレに入っていくのが見えたからさ」



汗をかいてる竜二にハンドタオルを渡す雫


「お掃除してました(笑)。女子トイレもしてくるので少し待ってて下さい」

「浴衣汚れるよ」

「大丈夫です、衛生面大事です。トイレ汚いと印象が悪くなります」



「わかった。待つよ」



雫がトイレから出てくる



「二回したのであとは終了まで大丈夫です」

竜二は雫に抱きついた

「もう、参った」

「竜二さん、みんながいます」



雫から離れる


「今山口に弁当食わせてる。もう俺らも食べよう」

「はい!」

抱きついた時に首に社員証がかかっていたことに気付いた

「雫ちゃん、名札持ってきてたの?」


「はい、昨日帰りに持って帰りました」


「もう、なんだよ、予知能力でもあるの?雫ちゃん」

「さあ(笑)」



二人は手を繋いで売り場に行く

山口がやってくる



「戻りました。あっなんかすみません、部長をお借りして」

「いえ、想定内ですから」

「進藤さん達にもお弁当配ってきました」

「まだ詰めが甘いな、怒鳴ってしまった」

「竜二さん、駄目です。お祭りなのに怒鳴ったらー」

雫はぷぅっと頬を膨らませた

「(笑)ああ、反省してる」


雫の膨らませたほっぺたを触る

「紙とかマジックとか私、借りにいったんですからー」

「何したの?」

「枝豆のメニュー増やしたので書いて貼りました。唐揚げが追い付かないと思って」

「この値段で?」

「こういう時は売れるんです」

「部長、参りました(笑)」

「だろ?この祭りの案は俺じゃないからな、彼女の案だから」

「そうなんですか?」



「俺はいつもの惣菜を売ろうと思ったんだけどな、ダメだって言うから……チューハイも入れたんだろ?」

「女性は喜ぶかなと思って、へへっ」

「喜んでたよ(笑)」


「部長、食べてください」

「そうだな、財布出して」

二人はテーブルについて乾杯する



「お疲れ様」

「お疲れ様です」

「食えないかもと思った。雫ちゃんに申し訳なくて、今度またゆっくり食事に行こう」

「でも楽しいですよ」



「部長」

真木がやってきた



「あー、やっと合流したよ」

(綺麗な人……)

雫はじーっと見てしまった


「雫ちゃん、俺の秘書」


真木は名刺を渡した

「初めまして、若宮雫です」

雫は立ち上がって挨拶する

「今日のエステと浴衣、彼女が全部手配してくれた」



「そうだったんですか?キレイにしてもらいました。ありがとうございました。」

「こーら、自分でキレイって言うな(笑)」


「あっ、すみません。私のことじゃなくてお肌の事です」

「そっか(笑)」



(部長がずっとニコニコしてる……)

「こちらこそ、会社のイベントにお手伝いしていただいて助かりました。あと少しですがゆっくりしていって下さい」

真木はビールを二本置いていく


「待て、お前が出したんだろ?釣りはいい」

竜二は真木に千円を渡した

「はい、では失礼します」

頭を下げて去っていく

(竜二さん、行動もスマート)

雫はニコニコして枝豆をつまむ



「竜二」



「親父、母さん」

(えっ!)

雫は立ち上がって頭を下げる

ゴクンと枝豆を飲み込む

「若宮雫です」

父は雫に座ってと手を差し出す

雫はドキドキしながら座った

「来てたんだ」



「企画がお前の名前になってたから様子を見に来た。凄い人が集まったな」

「うん、でも日が足りなかった。もっと詰めなきゃ、甘かった」

「そうだな、来年はもう少し準備期間が必要だな」

「はい」

「彼女か?」

「うん」



「彼女が一番よく動いていた。客の動きをわかっていた。私達にも座る場所を作ってくれて声もかけてくれたよ」

「そうなんだ」

「裏も必要だけど表もちゃんと見るんだな」

「月曜日に今日のこと報告に行く」

「わかった。じゃあ帰るよ」

「竜二、父さんの後、母さんの所にも来てね」

「はい」



二人は帰っていった

「雫ちゃん」

「はい」

「雫ちゃんの家の挨拶より俺の方が先になった」

「はい(笑)」

「月曜日、一緒に来てくれる?」

「はい、ん?夜?ですか?」

「昼」

「わかりました」



「九時だ、帰ってゆっくり呑みなおそう」

「そうですね」

「せっかくの誕生日に働かせてごめん」

「いいえ、私も名札入れて来ましたし、竜二さんだってそうでしょう?」



「不安は確かにあったから」

スタッフが片付けにとりかかり始めた



「竜二」

「美咲か、お疲れ」


「お疲れ様でした。マジックとかありがとうございました」


「こちらこそ、甘く見ててごめんなさい」

「美咲と話したの?」



「さっき言ったじゃないですか。紙とかマジック借りに言ったって、イベント会社なら持ってるかと思って」

「元カノって言ったじゃん」


「知ってますけど、必要だったから借りたんです。仕事中に元カノとか関係ありません。これからもいい企画をお願いします」

美咲に頭を下げる



「こちらこそ(笑)可愛らしいわね」

「竜二さん、謝るんでしょ?」

「あっ、悪かったな怒鳴って」

「ううん、目が覚めた。ねえ、彼女企画に入れない?」

「駄目」

「そっか……じゃあ、またね」


「ああ……雫ちゃん帰ろうか?」

「はい!」



「山口、帰るな。明日の朝様子見にくるから」

「お疲れ様でした。ありがとうございました」


山口は深々と頭を下げた


二人はタクシーでマンションに帰る



竜二のマンションに帰ってきた

「雫ちゃん、疲れたろ?お風呂入っておいで」

「はい」


「足痛くない?だいぶ歩いたからね」

「少し痛いですけど皮とかはむけてないです。入ってきますね」


竜二は浴室の雫に声をかけた

「雫ちゃん」

「はい?」

「着替え置いておくから」

「はい?」

(着替え持ってきてたはず……)



二十分後
雫が浴室からパジャマの上にバスタオルをかけて出てきた

「竜二さん、これ……」

「プレゼントだよ。俺入ってくるね」



竜二は上半身裸にバスタオルをかけて出てきた

「あれ?雫ちゃん?」



リビング、寝室にもいなかった

雫の部屋をノックしてあける

「いた……雫ちゃん」

雫はドアから後ろ向きに座っていた

竜二はお姫様抱っこをして雫をリビングに連れていく



「竜二さん、は、裸……」

「俺、夏は風呂から出たらしばらくこの格好だよ。雫ちゃん夜いないからだね(笑)」

「こ、これ、ありがとうございます」

「うん、フリフリで可愛いよ」

「あの……透けてて恥ずかしいんです」


「それでタオル巻いてるんだ(笑)他に誰もいないんだから」

雫をソファーに座らして冷蔵庫からビールを出してくる


「乾杯しよ」

「はい、乾杯です」

「今日はありがとう。手伝ってくれて」

「いえ、楽しかったです。明日は店舗行くんですか?」


「うん、気になるから少しだけ顔だしてくる」

「何時に出ますか?」

「六時に起きるくらいかな」



雫は冷蔵庫から簡単なつまみを作って持ってくる

「雫ちゃんて本当にすごいなーと思って……見るとこが違う」

「そんなことないですよ、竜二さんだって唐揚げや景品や飲み物の手配ちゃんとしてたじゃないですか」

「うーん、でもお客側に立てなかった、雫ちゃんがしてくれた衛生面とかね」



「あの時間は家族連れが多いし子供はこぼしますからね、汚い場所に誰も座りたがらないので」

「助かったよ」

「私こそ初めてエステにも行かせてもらいましたし、浴衣もパジャマもありがとうございます。お金たくさん使わせてしまって」


「彼女の初めての誕生日だからね」

「汗かいたので、明日クリーニングに出しますね。大事にしまっておきます」



「雫ちゃん……」

竜二は雫に軽くキスをしてもう一度長いキスをした

「んっ」

雫は竜二の体を少し押した

「苦しい……」

「息していいんだよ」

「私よくわからなくて」



「うん、わかってるから」

雫を軽く抱き締めた



「大人の竜二さんからしたら私はまだまだ子供で、その……我慢させてますよね?」

「俺のほうこそ雫ちゃんに同棲しよって言ってさ、体目的みたいに思われるの嫌だからあえてしなかった」

「魅力がないのかなって」



「雫ちゃんのこと大切にしたいからね。Hが重要じゃなくて、一緒にいてくれることの方が俺には大事なんだよ」



「でも、相性が悪いとか合わなかったら別れるとか本に書いてあったりとかして……竜二さん経験豊富だし……」

「そんなの信じないでよ。二人がちゃんと好きなら大丈夫だし、Hだけで将来の相手を決める訳ないじゃん」



竜二は雫を抱き上げて寝室に向かった

ベッドに座らせてクローゼットから指輪を出してきた


「もう一つプレゼント」

雫の左手の薬指にはめた


「ふぇ、ふぇーん」


子供の様に泣き竜二に抱きついた

「全部サプライズすぎですぅー」

「雫ちゃん、俺のお嫁さんになってください」

「ふぁい」



雫は顔をぐしゃぐしゃにして泣き竜二はバスタオルで優しく拭いてあげた


「泣かせちゃった」

「だ、だって……嬉しすぎて」

「可愛いな~」



竜二は雫の涙を拭いてあげると優しくキスをした

「本読んでるってことはこの後どうするかわかってるよね?」



「痛い?竜二さんは初めての人と一杯してるから大丈夫なの?」


「それは人によると思うけどね、俺も優しくしたいとは思うけど(笑)……無理はしないから言ってっていうか雫ちゃん、昔の女のこと思い出させないで、雫ちゃんとこれからスルのに……普通嫌がるでしょ」



「でも、竜二さんが私のこと好きでいてくれるから大丈夫なの(笑)」

「あー、もう可愛い」




雫をベッドに寝かせて軽いキスを体に何度も落としていき雫は竜二のリードで二人は繋がった




「大丈夫だった?」


雫の頭を優しくなでる

「……恥ずかしかった」

竜二のたくましい胸板に頭をつける

「今日は疲れただろ、このまま寝ていいよ」

「はい」