呉服店に到着する
(着物屋さんだ)
「真中です」
「いらっしゃいませ」
「雫ちゃんの好きな柄選んでいいよ」
「お祭りに着ていくんですか?」
「うん」
雫は嬉しそうに浴衣を選び始めた
「どっちがいいですか?二つに絞ったんですが」
「どっちも可愛いよ、二つ買ってもいいよ」
「いえ、もったいないです」
「好きな帯を選んでみてはいかがでしょうか?」
「そっか」
雫はピンクと水色の浴衣で迷っていた
「この浴衣にはこの色あたりの帯でそちらの浴衣でしたらこちらくらいかと」
雫はブルーの帯を選んだ
着付けをしてもらう
奥から浴衣を着た雫が出てきた
「竜二さん、見て見てー」
クルリと回って見せる
「可愛いよあとは下駄とバックを選ぶといいよ」
「はい」
竜二は会計を済ませタクシーを呼び二人はマンションに戻る
雫は帰っても暫く玄関にある姿見の鏡を見ていた
(浴衣気に入ったみたいでよかった(笑)まだ見てる。可愛いな)
やっとリビングに入ってきた
「竜二さんバックに財布入れときましょうか?ポケットは危ないですよ。人が多いところは……あと一応社員証」
「うん、お願い。雫ちゃんの財布は今日は入れなくていいよ」
「ありがとうございます」
「早いけど行ってみる?」
「はい!」
二人はタクシーで夏祭りの開かれる店舗へ向かった
タクシーの中で携帯が鳴る
竜二が雫に携帯を見せると山口と出ていた
二人は顔を見合わせる
「もしもし?」
「山口です、あの、すごい人で……」
「いいことだろ?」
「それはそうなんですが……」
「今タクシーで向かってる、あと二十分くらいしたら着くから」
「はい」
「怖いですね、竜二さん」
「人が集まるのは想定内だが……追い付かないと苦情になるからな」
「電話かかってきたってことは、追い付かないと判断したんでしょうね」
「だな……俺にかけてくるってことは……」