本社ビルに帰る
「お疲れ様です」
真木が声をかけてくれる
「ああ、疲れたモップがけしてきたよ」
「えっ、そんな状態に?」
「(笑)経理に行ってくる」
本社一階にある経理課へ向かう
「経理部長、いいですか?」
「ああ、お疲れ」
二人は個室に入る
「聞いたよ、大変だったな」
「すみません勝手に、部長の許可も取らずに」
「出張だったから構わないよ」
「事後報告で申し訳ないですがレジの修理とエアコン掃除と室外機が壊れてるのでそれの請求が回ってきます」
「今日のレシートあるんだろ?」
「あっ、これは自分でみんなに飲み物を渡したので大丈夫です」
「いいよ、出せよ」
「すみません」
「すぐ修理するように書類回すから」
「ありがとうございます」
経理から同じフロアの総務課へ顔をだす
「課長、この書類もらっていきます」
「あっ、悪い」
「いえ」
自分の部屋に戻った
「山口さんお呼びしましょうか?」
「ああ、すまない」
暫くして山口が部屋にやってきた
「悪いな」
「いえ、お忙しいのにこちらもすみません。一応目を通していただきたくて」
「広告か?」
「はい」
真木が麦茶を運んでくる
「これ、見てどう思う?」
「あら、広告ですか?」
「女性の意見は重要だからな」
「女子社員も行きたいっていってましたよ。浴衣着ていく?とか」
「浴衣かー、女性の浴衣もいいな」
「なかなか着る機会ないですからね」
「広告はこれでいいんじゃないか?女性スタッフは浴衣着てもらうか?」
「いいですね、レンタルとか手配いたしましょうか?」
「そんなのもできるのか?」
「お任せください(笑)」
「社員証見せたら飲み物一本サービスするか」
「じゃあ社内メールは総務の方でしますね」
「お願いします。じゃあ広告出してきます」
「行ってこい」
「私も浴衣着て行きましょう(笑)部長は来られますか?」
「彼女の誕生日なんだよね」
「あら、それで夏休みを?」
「うん、二人で行くことにした。実は彼女の意見を参考にしたんだよ」
「まあ、彼女を連れてくるとなると女子社員がショックを受けるかもしれませんが、案を出したのなら彼女さんも行きたいでしょうね」
「俺の迷惑になるならやめるっていうんだけどな」
「健気ですね」
「だろ?」
「浴衣のお店紹介しましょうか?」
「そうだな、どこにも連れていってないからな」
「そうなんですね」
「若い子の好みがわからない(笑)」
「おいくつですか?」
「二十歳」
「学生さんですか?」
「うん、あまり高い買い物もしない子だから」
「でも贈る側ははっきり言ってくれたほうがプレゼントはしやすいですよね」
「うーん、贅沢言わないんだよな、今までなら高い料理屋連れていったら喜んでたのに」
「でも今までと違う方だから魅力的で惹かれたのでは?」
「そうなんだよな、二十歳の子に翻弄されてる(笑)」
暫く雫の自慢話をしてしまう竜二だった