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どうしてこんな人間になってしまったのか。
弓長美波には、まったくわからなかった。

親同士が親友で互いに一人っ子ということもあり、子供の頃から兄妹のように育った高見沢信二。

ずっと一緒にいた信二。

引っ込み思案だった自分といつも遊んでくれて、とてもやさしくしてくれた彼。

そんな彼を気がつけば好きになっていた自分。
幼なじみとの恋。

ここまではよくある話だろう。
決定的な言葉こそなかったものの、周りからも認められる兄妹以上で限りなく恋人に近い関係だった。

大学時代に彼に一度は拒絶されたものの、忘れられず彼の元に再び戻った彼女。

そこから本当の恋が始まる。
これだって、なくはない話だ。

離れていた期間が相手への想いを一層募らせ、疎遠になる前よりも親密な関係になることだって不思議の範囲からは除外できるだろう。

彼は当時の自分を悔やみ、彼女の大切さに気づいて受け入れてくれたのだ。
不器用な二人の恋人関係。
学生の頃には踏み込めなかった大人の恋……。

願いがかなった瞬間だった。
それでハッピーエンドのはずだった。



しかし……。