午前中最後の授業終了のチャイムと同時に来夢は走り出した。

階段を一気に駆け下り、向かった先は保健室の隣にある名前のない部屋。
スクールカウンセラーの司が使っている部屋だ。

目的は単純。彼の脛が目当てだ。

途中、


「北条さん、この間のイケメンと──」


「デートしたの?」


「彼とどういう関係なの」


先日教室へ顔を出した司との関係に興味津々なクラスメイトが、次々と話しかけてきたが、


「実はあたしと彼はあやかしの子孫で──」


なんて、一から人に話してみたところで理解出来るかと問われれば大多数がNOと答えるであろうことは経験上明白で。だからと言って、


「彼とは、触りたい時に脛を触らせてもらう関係です」


なんて性癖を疑われるような発言を出来るわけでもなく。

結果、ウソが苦手な来夢は苦笑いですべてをスルーして来たのだった。

元より、今はそれどころではなく、授業中昨日のデートのことを考えていたら、無性に司の脛が恋しくなったのだった。

もちろんすねこすりのあやかしなごりの発作という意味でだが。


部屋へたどり着いて、


「司さん、いますか」


返事を待たずにドアを開ける。


と、