そんな時、前を歩く智也を見つけたら、自然と後をつけていたのだ。
それだけなら、気にすることもなかったのかもしれない。
好きな人が、どこへ行くのか気になるからで済んだだろう。
だが……。
それは一度では終わらなかった。それからというもの、毎日続いていた。
陽葵は来る日も来る日も、彼の後をつけ続けていた。
友達からの誘いも断り、風邪をひいている時でさえ欠かさず。
学校では普通に仲の良い友達として振る舞い、放課後は後をつける。
いったいなにがしたいのか自分でもよくわからなかった。
偶然を装って話しかけるわけでもなく、ただ、気づかれないように後をつけるだけなのだから。
もうやめようと何度も思った。こんなことをしても仕方がないと。それに、後をつけているのがもしバレてしまったら気持ち悪がられるだろう。
しかし、何故かやめることができなかった。
心では今日から後をつけずに、真っ直ぐ帰ろうと固く誓う。
けれど、ふと気づくと、どういうわけか数メートル先には、いつも智也の背中があるのだ。
知らず知らず、後をつけてしまっているのだ。
帰る時間をずらしているはずなのに。わざと遠回りをして彼が使わない道を選んでいるはずなのに。
ふとすると、彼の背中があった。
これはもう病気かもしれない。
ここまで自分で自分を制御できないなんておかしい。そう思い始めた時、それは起こってしまった。
その日の放課後、智也がいつもとは違う道を通り、駅前にあるショピングモールへ足を向けた。
そこで、見てしまった。