「これに入るんですか……」


「あら、北条さん。もしかして苦手なの?」


一歩後ずさる来夢に弓長は楽しそうにすり寄ると、


「司さんにぎゅっと掴まっていれば大丈夫」


そう言って耳打ちした。


「え? ぎゅっ……?」


その言葉に来夢があからさまに頬を赤らめると、


「あら? 恋人同士なのに腕も組めないの?」


そう意味深に指摘する。

その何かを見透かしたような表情に、


「そ、そんなことないです!」


来夢は、司の服の袖を小さく摘む。

すると弓長は、イタズラっぽく微笑んで、


「一組ずつ入りましょう」


と、高見沢の手を取り先にお化け屋敷の中へと消えていった。


「どうしよう、司さん。私たち恋人じゃないってバレたかも……」


「お前の不機嫌面のせいか?」


「気づいてたんなら、もっとカップルっぽくしてくださいよ!」


「ああ、そう言えばそうだったな」


言うと司は、不意に来夢の手と自分の手を重ねた。


「え!? ええっー!」