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まず弓長が選んだのはジェットコースター。
見た目が古風でサイズ感も小さく、民家の横をすり抜けるという他の遊園地とは違ったスリルが味わえると噂の代物である。
「司さん、こういうの平気な人ですか?」
「いつ壊れてもおかしくない、古くてボロい乗り物に身を委ねる恐怖ということか?」
「違います! 高い所とか速いスピードの怖さです!」
司の声が聞こえたのか、むっとした近くの係員に来夢が愛想笑いを浮かべると、コースターは動き出す。
前に乗る二人、高見沢と弓長は、
「キャア!」
とか、
「うわ、思ったより速い!」
とか、見たまま普通のカップル。
一方、その後ろの二人。来夢はブツブツと小言を言い、それを受け流して楽しそうにもしない司のカップル。
二組を乗せたコースターは数分の後、元いた場所へと戻ってきた。
「分解はしなかったな」
「ちゃんとメンテナンスしてますよ! 係りの人に聞かれたら怒られますよ」
その後もほぼ変わらない状態でデートは続き、途中から仏頂面を全面に出していた来夢ではあったが、最後に入ろうと言われたアトラクションでその顔色が変わる。
四人の目の前には、瓦屋根と障子扉の建物。
大きな看板にはドストレートに【お化け屋敷】の文字があった。