素敵という言葉には引っかかるものがあったが、ここは素直に笑顔で頷いておくことにする。
出だしから疑われて問いつめられるケースも想像出来ただけに、こちらの件に関しては好調なスタートと言っていいだろう。
弓長は高見沢の腕を取ると、楽しそうにみんなを先導し始めた。
「あれに乗りましょう」
「いいかな?」
高見沢が確認のため振り返ると、司は頷き歩き出す。
「ちょ、ちょっと司さん!」
「トイレか?」
「違いますよ! どうして私を置いて行っちゃうんですか。一応これデートなんですよ」
「なら、遅れるな」
「え!?」
言うと、司は一人高見沢たちの後を追ってしまう。
世間一般のデートを想像していた来夢は、
「恋人じゃないってバレても知らないですからね!」
小声で苦情を吐きながら司に歩を合わせた。