進められるままソファに身を沈める。
「お前がそう言ったことに不慣れなのは理解した。だが、これは本物のデートではないから安心しろ」
「どういうことです?」
「弓長のなごりの状況把握、そして来夢と高見沢が浮気しているという疑惑を晴らす一石二鳥の偽りダブルデートだ」
「私と司さんが恋人だと弓長さんに思わせるってことですか」
「そうだ。疑念が晴れれば少なくとも学校で弓長に追い回されることはなくなるだろう」
「そう言えば、そうでした」
先日、高見沢と仲を勘違いされ、なごりの発症した弓長に危うく追いつめられたのを思い出す。
「そして一緒に行動して解決策を模索する。いまの弓長に小運のぬいぐるみを渡してもいい結果が生まれるとは思えないからな」
確かに、嫉妬の鬼と化した彼女がぬいぐるみを使っても、邪魔者を排除して欲しいなんて願いを祈りかねない。
「それでダブルデートですか」
「そういうことだ。まあ、弓長には俺と来夢が恋人だと信じさせなければいけないからそれらしくすることは必須だがな」