「ダブルデート!?」
高見沢の話を聞いた翌日。学校へ着くなり来夢は声を上げていた。
教室の自席に座った瞬間、突如現れた司に告げられたのだ。
「次の日曜日だ。高見沢には伝えてある」
「ええ?! でも、デートなんて私、したことないです」
「気にするな──それよりも声のボリュームを気にしろ」
「っ!?」
気づいた時には、クラス中に注目されていた。
「デート? 北条が?」
「あのイケメン誰!」
「ウソッ!? 北条さんがイケメンとデート!」
一気に教室中がざわつき始めたので、
「来い」
司に腕を引かれ、保健室の隣の部屋へ移動する。
「ここって、司さんの?」
「そう、スクールカウンセラーの、俺用の部屋だ」
わざとそうしているのか表にはネームプレートなどは張り出されておらず、来夢のみならずたいていの生徒は保険準備室ぐらいに思っていた場所であった。
中はこざっぱりとしていて、カウンセラー用であろう机とイス、本棚。それからリラックス出来そうなソファと低いテーブルのみだった。
「へー……知らなかったです。一週間に一日はここにいたんですね」
「そういうことだ。それよりデートの──」
「ああ! そうでした! デ、デートです!」
その言葉を思い出した来夢は、再び大声で連呼する。
「私、司さんとデートするんですか!? D・A・T・Eの? 男の人とデート!? デートなんてしたことありませんけど、初めてでもデートってしてもいいんですか? な、なにを着ればいいんですか、靴は? 髪型は? 前日に顔パックは? ──あっ……」
そこまでまくし立てると、冷静に自分を見つめる司にやっと気がついた。
「まあ座れ」