それからというもの、生徒だろうが道ゆく人だろうが、女性と話をしているだけで、飛んできては一騒動起こすのだった。
その鬼気迫る勢いには、身の危険すら感じるほどであった。
「そういうことでしたか……」
話を聞いた来夢は、ついさっき見た弓長美波を思いだしコクコクと頷いた。
ただ、普段はおっとりしている弓長がそこまで嫉妬するとは誰も思わないであろうが、そこはすでに答えがでていた。
「嫉妬するなごりですか。清姫、でしたっけ」
問いを投げると司は首肯し、来夢の言葉を受け取った。
「おそらくは、会えない期間で鬱積した想いが弓長美波の持つあやかしの血を呼び覚ましたんだろう。トリガーは念願叶って恋人になったこと。もう離れたくないという深層心理か」
「もとの彼女に戻りますか?」
高見沢が懇願するように見やると、
「……お前しだいだな」
司ははっきりと答えるのだった。