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「笑いごとじゃないですよ!」
蒼士が案内してくれた給湯室で気が済むまで洗い物をした後、隣にあった休憩室で休んでいると、司がふらりと現れた。
そこで先ほどの出来事を一部始終説明したまではよかったが、
「フッ……高速のハイハイか」
司はその部分を妙に気に入ってしまい三度も連呼してようやく、
「そんななごりはないから安心しろ」
と締めくくった。
「わかってますよ! まったく」
来夢は頬を膨らませながら、ぷいっとそっぽを向く。
そこで、
「そういえばまだ言ってなかったけど、これまでの捜査で怪しいと思った人を発表しまーす」
蒼士が意外なことを言い出す。
これには、来夢も食いつかずにはいられない。
「犯人候補がいるんですか!」
「うん、犯人はたたぶんその中にいる! ね、幸運のぬいぐるみくん」
「?」
「……」
司と来夢はジト目を向けるが、蒼士は気にした様子もなくニセモノの幸運のぬいぐるみを撫でながら続ける。
「まず一人目! 一階にいた交通課の中田さん」
「あの怖かった人ですか?」
「理由は?」
「犯人捜しを止めた! 捜査されると困ることがあるから怒ったんじゃないかな。それって十分な理由じゃない?」
「まったく話にならん」
「どうして?」
「向こうの理屈が正しすぎるからだ、アホゥ」
「え~、じゃあ二人目!」
「まだいるんですか」
「刑事課の刑事! 事情聴取を断るなんて怪しい! きっと聞かれちゃマズイことが──」
蒼士は話の途中だったが、
「さて、妄想はそのくらいにして行くか」
司は無駄だと言わんばかりにさっさと部屋を出てしまう。
来夢も、
「あ、司さんどこへ行くんですか! ええと、蒼士さん」
「ん、来夢ちゃんは僕に賛同?」
「ごめんなさい」
ペコリと頭を下げて司を追う。
蒼士はと言えば、
「……」
──勿論後を追った。