「どうしてそう思うんですか」


「アホだからだ」


「あほ?」


「そうだ。蒼士はアホの中のアホ。キングオブアホだ」


「そんなにですか」


「そんなにだ」


散々な言われように蒼士も流石に起きあがる。


「言い過ぎだよ、司!」


「そうか? 迷子を助けようとして一緒に迷子になって誘拐犯と間違われたり、暴走族の喧嘩の仲裁に考えなしに飛び込んで両方からボコボコにされたり、告白を断れずにいたらいつのまにか彼女を名乗る女が十人を超えてモメにモメたり、変わったことがあるとすぐになごり関係だと勘違いしたあげく暴走するアホだろう」


「今度は本当にそうなんだって!」


「どうせ根拠はないんだろ」


「ちょっと待ってください!」


ここで、再び来夢が間に入った。


「蒼士さんの相談って、なごりの相談なんですか」


「あやかしなごりだと思いこんでの勘違い相談だ」


「こ、今度のは思いこみじゃないよ! すっごくおかしいんだから!」


蒼士は涙目になりながらも両手で机を叩いてアピールをする。


そして、


「司さん。ここまで真剣なんですから聞いてあげてもいいんじゃないですか?」


と司に寄り添う来夢を見て、何かを閃いたのかニヤリと微笑んだ。


「いいよ……。相談に乗ってくれないなら大学時代の友だちとかここのご近所さんとかみ~んなに言ってやるから」


「ああ?」


「え?」


「司は、──わらし人形店の店主神代司は、真昼間から堂々と未成年の女子高生とイチャイチャしてる、【淫行】だっーーて!」


拳を高々と振り上げ勝ったと言わんばかりに大声を上げる蒼士の口を、司は慌てて塞ぐのだった。