「え?」
「あ、あのう……こんにちは……ははは」
「あなたA組の北条さん!?」
二本となりの木に隠れていた来夢と目が合う。ついでにその後ろで指を唇に当て静かにするようポーズをとる司も視界に入った。
「もしかして、いまの見てたの!」
「え、ええと、その……ごめんなさい! バッチリ覗いてました」
小声ながらギョッとするやよいに来夢は素直に謝る。
「ですが、決して悪ふざけとかではなくて、陽葵ちゃんのことが心配で勝手に付いてきてしまいました」
「そういうことだ」
来夢の後ろから司も乗っかるが、
「だれ?」
やよいからはもっともな返事。
しかしそこで、運良くというべきか、
「陽葵!」
道の奥に遠くから走ってくる男性の姿が浮かび上がった。