「やっぱりあなたは智也のことが、すごく好きなのね」


「きゅ、急になに!?」


「だから、智也のために危険なストーカー女を撃退しようと、ここへ来てくれたのよね。本当は怖いのに」


「私は怖くなんか──」


「いいの。わかるから……。だってやよいさん、さっきからずっと手が震えてる」


そう言われ、やよいははっとしたようにほどいていた腕を組み直し手を隠すが、来夢の目にもはっきりと小刻みに震える指が見てとれた。


「それに私がストーカーだって気づいたのも、好きな人を無意識にいつも目が追いかけているからでしょ。自然とその視界に後をつけている人間も入ってくる」


「そ、それは……」


「だから、ごめんなさい。智也を守ってくれようとしたあなたには謝りたかったの。それから……それからもう一つ呼んだ理由があるの」


先ほどまでの勢いが目に見えてなくなったやよいに、陽葵は決意表明するように胸の前で拳をぎゅっと握りしめた。


「私、これから智也に告白する──さっき呼んだから、智也ももうすぐここに来るの」


「え?」


「故意ではないけど、ストーカーだからフラれる確率ほぼ100パーなんだけどね。だけど、やよいさんには見てて欲しいの」


「なん、で?」


「なにをしてくるかわからない怖いストーカーに一人で立ち向かって智也を守ってくれようとしたから、かな……。もし、逆の立場ならきっと私も同じことをしていた気がする。それなら最後まで結果を見届けたいと思うのも同じかなと思って……──変かな?」


陽葵の意志のこもったセリフに押されたのか、戸惑いながらではあるもののやよいは「は、はあ……」と気のない返事をすると、言われるまま木の陰へと移動する。


と、