「あなた、もう友達のフリして智也くんには近づかないで! ストーカーなんて最低!」


「私は……ストーカーなんてしてない」


「は? さんざん彼のことつけ回して怖がらせておいていまさらなに?」


「それには、理由があるの」


「智也くんが好きだからでしょ! そんなの誰だってわかる! 好きだから後をつけ回してたんでしょ!」


「そうだね……確かに私は智也が好き……。だけど、怖がらせようなんて思ってない。ただ、体が勝手に……」


「体が勝手に? なによそれ。そんなの完全に犯罪者の言い訳じゃない。気持ち悪い!」


「うっ」


 言われている本人ではないが、木の陰に隠れている来夢の胸にやよいの言葉がグサグサと突き刺さってきた。

これまで、似たような罵声を散々浴びてきたことが脳裏に蘇ってくるのだ。


「……う、う……ひどいです。やよいさん」


「お前が泣いてどうする」


「だって、犯罪者なんてひどいですよ。司さん」


「俺が言った訳ではない。それにみて見ろ。当事者の陽葵はお前ほど弱ってはいないぞ」

確かに、陽葵は多少俯いてはいるものの、耐えるように歯を食いしばっていた。


「……ごめんなさい、やよいさん。あなたにまでイヤな思いをさせてしまって」


そして、彼女を呼んだ理由を語りはじめた。