「こんなところに呼び出して、いったいなんの用?」
それは、智也に告白をした隣のクラスのやよいだった。
やよいは普段のおとなしそうなイメージとは違い、眉間に皺を寄せ腕を組み、威圧的に陽葵の正面に立った。
「ちょ、ちょっと司さん! ど、どうして、やよいさんが!」
「俺が知るわけはない。やよいという相手も初めて見るしな」
さすがに小声ながら来夢は慌てるが、司は相変わらず強弱なく答える。
「そんな落ち着いている場合じゃないです! このままじゃ陽葵ちゃんが!」
「どうなる?」
「え? ……えっと、……どうなるんでしょう?」
そう冷静に言われてしまえば、てっきり陽葵は結城智也を呼び出したと思っていた来夢には、この後の展開なんて想像もできなかった。
やよいの口調からも彼女を呼び出したのは陽葵本人なのだから。
「来てくれてありがとう。やよいさん」
「お礼なんていい。私もあなたには言いたいことがあったから」
一瞬の静寂。
一陣の風が二人の間を駆け抜けていく。
いまにも決闘でも始まりそうな緊迫した空気が漂うなか、やよいが先に口を開いた。