少し先を行く陽葵の姿が、繁華街の出口にある公園へと吸い込まれていく。
日中の暖かい日差しの中、遊具で遊ぶ楽しげな子供たちや親子連れの間を抜け、奥にある静かな緑道までくると足を止めた。
「こっちだ」
「っ!」
司はボケッとする来夢を連れ、道からはずれ大きな木の陰に隠れた。
「結城くん、わかってくれるでしょうか……」
「まあ、なるようになるだろ」
「あのぬいぐるみのお守り、ちゃんと効きますか?」
「小運は必ずやってくる。さっきも言ったが、それを生かすも殺すも本人次第だ」
「──ブサイクさん、陽葵ちゃんに力をかしてあげてください」
来夢は、陽葵の手の中でむぎゅっと握られ、なんとなく苦しそうな表情に見える幸運をもたらすというぬいぐるみに祈るように手を合わせた。
そこで、
「誰か来るな」
来夢たちが来たのとは反対から、誰かがやってくるのが見えた。
しかしそれは、
「え? どうして?」
来夢のまったく予期せぬ人物だった。