どれくらい時間が経ったのか。

司にとっては小一時間。実際は3分といったところだろうか。

ようやく来夢は首を縦に振ると、司を解放した。
と、ほぼ同時だった。


「がっ!?」


苦しげな声が耳に届いたのは。

振り向くと、雨に濡れた2人がもみ合っていた。

美波が高見沢の首を絞めている。

高見沢も抵抗しているように見えるが、相手のあやかしの血が覚醒し、人ならざる力を発揮するなごりの発動状態では、かなり分が悪い。


「男はみーんないなくなるしかないの。この世界から」


美波が叫びその手にさらに力を込めると、高見沢が膝を付いた。


「まずい!」


司は咄嗟に駆け寄ろうとする──が、動くことが出来なかった。


「どこにも行かないって言いました!」


走ろうとした司の腕に来夢がガッチリとしがみついていた。


「緊急事態だ!」


「あたしだって緊急事態です! いまプロポーズされたのに、もう破局です!」


「アホか……」


「アホです! 人を好きになったらみんなアホになるんです! それが──、それが恋なんです!」


来夢は司の首に腕を回すと、女子高生とは思えない力でそのまま彼を押し倒した。


「くっ!」