「信二が浮気ばかりするから」


「いや、それは……」


「違う? でも、私やっとわかったの。悪いのは信二だけじゃないって。男はみーんな浮気者なんだって」


「なにを言って──」


「だってそうでしょ。見てごらんなさいよ! みんな女性を苦しめているじゃない」


そう言って、廊下や校庭にまで溢れだしてモメ続ける生徒や教師たちに視線を這わせた。


「辛い思いをしているのは、醜いのは私だけじゃなかった。すべての女性が醜く苦しんでいるのよ──だから、ね」


美波は両手で高見沢の頬をやさしく撫でると、その手を首に回した。


「だから、もう終わりにしましょう」


「がっ!?」


突如、両手の指が首に食い込んでいく。もの凄い勢いで気道を塞がれていく。


「や、やめ──」