「そうだ、みんなを止めなきゃ」


起こしてあげると、彼女が状況を説明してくれる。


「カウンセラーの司に頼まれて──」


「なるほど……。やっぱりこれはあやかしなごりが原因なんだね」


「知ってるの? あやかしなごり」


「うん。僕は司に呼ばれてここへきたんだ。力になるよ」


「よかった……。みんなどんどんエスカレートしていて一人では限界だったの」


「司がきっと原因を解決してくれるだろうから、それまで事故が起きないように止めればいいんだね」


「はい──あ、私、弥生ひかり。ひかりって呼んで」


「わかった。じゃあひかり、いこう」


司が自分を呼んだ本意はおそらくこれだろう。
そう、直感で判断した蒼士は、ひかりという少女と共に波のようにうねる高校生たちの間に割って入っていった。