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「はーぁ……」


気がつくと、胸の奥からこみ上げてくる低く重い音がジワーッと口から漏れ出てくる。

午後の授業は始まっていたが、来夢にはまったくと言っていいほどやる気が出てこなかった。

(よくないです……)

とは思いながらも、


「ふうぅ……」


またため息。

これが教室に何人か見受けられる同級生のように、お昼ご飯を食べ過ぎて眠いから。という理由ならまだましだったかもしれない。
睡魔は強敵には違いないが、たまには起こる現象だしそのぶん戦い慣れてもいるから。

しかし、来夢が授業に集中できない原因はそこにはなかった。
どうしてこうなってしまったのかはわからない。
と思いながらも考えてしまう。脳裏に浮かんでしまうのだ。

司のことが……。

きっかけはなんとなく察しはついていて、お昼休みに司と弓長が抱き合っているように見えてからだった。

2人の説明で誤解だということは理解した──はずなのだが。
司の脛を触らせて貰っていた間も、その後教室に戻ってからも、胸の奥のモヤモヤはずっとつきまとっていた。

司が美人の弓長と大人の関係……。