『智也くん』


『ごめん、待った?』


いつか告白していた、隣のクラスの女の子と待ち合わせしているのを。

そして、


『あ! あの人……』 


『どうしたの? ──陽葵!?』


気づかれてしまった。

しかも、


『あの人! いつも智也くんのことをつけ回している人だよ!』


バレてしまった。

どうして彼女がそのことを知っているのかはわからない。けれど、彼女の攻撃は止まらなかった。


『あなた、どうして毎日智也くんをつけ回すの! 怖いしキモイよ!』


『陽葵……本当なのか? なんで、そんなこと』


『わ、私は、そ、その……』


『言い訳なんてききたくない! もう智也くんに近寄らないで!』


『やよい、そんな言い方──』


『だって、智也くんだって言ってたじゃない。最近誰かにずっと見られているみたいで怖いって』


『そ、それは……』


そこまでだった。


『ご、ごめんなさい!』


最初は驚きで体が固まっていた陽葵だったが、なんとかそれだけ言うと、一目散に逃げ出したのだった。