両親と祖父母の言い合いはヒートアップしていく。
 らちがあかないと思ったのか、矛先は柚子の方へと。


「柚子、お前はどう思っているんだ!?」


 父親が怒鳴るように問い掛ける。

 ここまで育ててくれたことには感謝する。
 しかし、ここに自分の居場所はない。


「私はお祖父ちゃん達の子になる。ここにいたって私は幸せになれないもの」

「なっ!」


 はっきりと子供に言われて、ショックか怒りか、顔を赤くして体を震わせる父親。


「この親不孝者が!ここまで育ててやったのに……」


 父親が柚子に向かって大きく手を振り上げる。
 叩かれる。
 そう思って、目を瞑って痛みに備えたが、いつまで経っても痛みはやってこない。

 目を開けたら、玲夜が父親の腕を掴んでいた。


「玲夜……」

「離せ!なんだ貴様は。他人が口を挟むな!」


 父親は興奮しながら玲夜を怒鳴りつけたが、玲夜が一睨みすると、ヒッと声を上げて怯える。

 顔が整いすぎているから、一睨みだけでも凄い迫力がある。

 父親は一気に興奮が冷めたようだ。