いや、姉妹の差は最初からあった。
当然のように地元の公立の小学校に通うことになった柚子と違い、花梨を多くのあやかしが通う私立の学校に通わせることを決めた両親。
社交的で要領も良く器量好しの花梨ならば、あやかしの花嫁になることもできると豪語し、親戚から借金までして入学金の馬鹿高い私立の学校に通わせた。
親バカと思われてもおかしくない両親の行いだったが、実際にその学校で妖狐のご子息に見初められたのだから、あながち親バカを馬鹿にはできない。
だが、そのせいで、両親の関心はさらに花梨へと寄り、柚子をないがしろにする回数が増えた。
運動会や参観が被れば、当然のように花梨を優先し、欲しいものがあれば花梨はいつでも買ってもらえるのに対し、柚子は毎月決められたお小遣いの中でやりくりするしかない。
お小遣いをくれるだけありがたく思うべきなのかもしれないと、あの両親に何を言っても仕方がないのだと。
両親が柚子を気に掛けるのは、気が向いた時だけ。
柚子とてまだ子供だった。
親に甘えたい時なのに甘えることを許されない。
そのことに対し、怒りを爆発させた事もあった。
嫉妬から花梨に掴みかかった事さえ。
けれど、両親はそんな時でさえ柚子ではなく花梨を庇う。
そして、何故柚子がそこまで怒りを感じているかも理解せずに柚子を怒鳴りつけるのだ。
柚子はいつからか諦めるということを学んだ。