落ち着いたところで、ソファーに隣同士で座ると、玲夜が切り出した。


「柚子はこれからどうしたい?」

「どういうこと?」

「申し訳ないが、昨日の内に柚子の事を調べさせた」


 そう言われたが、特に驚きはなかった。
 鬼龍院であるなら、柚子一人の事を調べるなど容易いことだろう。


「昨日の柚子から聞いた話でも、あまり家族とうまくいっていないのだろう?」

「うん」

「柚子が望むのなら、あの家から出してやろう」

「えっ」

「嫌なのか?」

「嫌というか……」


 確かにいずれは出るつもりでいたが、今と言われると、戸惑いの方が大きい。


「あの家にいても、柚子に良い影響を与えるとは思えない」

「確かに、もうあの家には居づらいし、帰りづらいけど、あの家を出てどうやって生活していけば良いか分からない。
 まだ未成年で、親と縁を切り離せないし」

「ならば、祖父母と養子縁組するのはどうだ?」

「えっ、養子縁組?」


 思ってもみない提案に目を丸くする。


「昨日の内に柚子の祖父母とは連絡を取った。柚子が怪我をさせられたことや経緯を話したら激怒していたようでな、この事を提案してみたら非情に乗り気だった。むしろあの親から離せるなら賛成だと言っていた」


 きっと心配させてしまっただろうなと、柚子は申し訳なくなった。